Posted by ぴんもや - 2009.06.16,Tue
ミシェルの、「ご機嫌さんだな」に激しく萌えた。すいません(笑)
あ、ラジオの話ね。
でもアルトがてるてる坊主知らないってことはないんじゃないかな・・・?w
突発的すぎにもほどがあるSSなのでこっちに投下します。
続きからどうぞ~。
【グリフィスパークの丘で】
デートの約束が急にキャンセルになり、予定外の暇を持て余したミハエルは、どこかで可愛い女の子でもナンパしようかとふらふら公園へ向かう道を歩いていた。
学校へ行っても良かったが、アルトやルカたちが帰ってしまった後に顔を出したところで何もすることがない。
ナナセはバイト、シェリルとランカは仕事で三日ほど休んでいる。
のんびりと丘をのぼって温い風を浴びながら展望台を目指していると、柵に手をついてぼんやりと眼下の街を見下ろす友人を発見した。
ひとつに括った長い髪を揺らしながら、後ろ姿からは・・・いや前から見ても、美少女にしか見えない彼は空を仰いだり街を見下ろしたりと落ち着かない。
立ち止まってしばらくその背中を眺めていると、友人は不意に肩からかけていたバッグをごそごそと漁り、一枚の紙を取り出して、柵に押しつけるようにしながら器用に折り曲げて行く。
一分もしないうちにお得意の紙飛行機ができあがる。
白い手で飛行機を持ち上げ、狙いを定めるように何度か空をつつく真似をした。
ああ、あの手で扇を広げ、長い指をぴんと伸ばして舞っていたのだな、と無意識のうちにミハエルは呼吸をするのを忘れて見入っていた。
さあっ、とひときわ強い風が吹く。
彼は直角に曲げた肘を押しだして、紙飛行機を飛ばした。
真っ白なそれは風に乗り、誇らしげに羽を広げて空を舞う。
綺麗な孤を描くように右へと曲がり、ぐんぐん高度を下げてはまた持ち直し、見えない糸に操られているかのように遠くへと飛んで行った。
じっとそれを見つめたまま彼は動かなかった。
けれどミハエルには、彼がいまどんな顔をしているのか想像がつくのだった。
ミハエルはそうして5分ほど観察した後に、ようやく足を進め、彼の背中を軽く叩いた。
「よ。なーにさぼってんだよお姫さま」
「ミシェル!」
ぎょっとしたように振り返って、一瞬気まずそうな表情を浮かべた。
今日は人と約束があるからと、さっさと帰ってしまったのをどこかで後ろめたく思っていたのだろうか。
きっとそうだ、とミハエルは確信した。うぬぼれてもいいだろうか。
デートがあるから今日は別々に帰ろうと言った時、アルトが不満そうな顔をしたのを覚えている。
「もう用事は済んだのか?」
尋ねると、アルトはむっつりと唇を尖らせ、視線をそらした。
「会えなかった」
「ふうん。会うのをやめた、んじゃなくて?」
「何で知ってるんだ!」
「本当か?」
鎌をかけただけだったのだが図星らしい。
みるみる間にアルトの顔が紅潮していく。
こういう、ガキっぽいところがミハエルはたまらなく好きだった。
取り繕うということを知らない純粋さが、苛立ちを募らせ、愛しさへと変化していく。
「・・・・・・矢三郎兄さんに。親父の容態聞こうと思ったんだけど」
「聞けばいいじゃないか。心配なんだろ?」
「そうだけど。でもやっぱりやめた」
「なんで?」
「おまえは?」
「え?」
ミハエルの質問には答えず、アルトは睨むように目を細めた。
「おまえは何でここにいるんだ?デートは?」
「ドタキャンされた」
肩をすくめて言うと、アルトはぷっと笑った。
「笑いやがったな」
つられて笑みを浮かべながらぶつけるように肩を小突くと、アルトはお返しと言わんばかりに体当たりをして、柵に背中を預けて空を仰いだ。
「雨、降らないな」
「降ってほしいのか?」
「たまには降ってもいい」
なんだか偉そうな発言におかしくなる。
「じゃあ雨が降ったら一緒にてるてる坊主作って吊るそうか」
「どこから?」
「バルキリーのコクピットに」
ミハエルが言って、ふたりは同時にそれを思い浮かべてけらけらと笑った。
そんな愉快なものをぶら下げていては、きっと降るものも降らないだろう。
そうしてふたりが立ち去った後、偽物の夕陽に照らされてオレンジ色に染まったふたつのてるてる坊主が、柵からぶら下げられてゆらゆらと揺れていたのだった。
デートの約束が急にキャンセルになり、予定外の暇を持て余したミハエルは、どこかで可愛い女の子でもナンパしようかとふらふら公園へ向かう道を歩いていた。
学校へ行っても良かったが、アルトやルカたちが帰ってしまった後に顔を出したところで何もすることがない。
ナナセはバイト、シェリルとランカは仕事で三日ほど休んでいる。
のんびりと丘をのぼって温い風を浴びながら展望台を目指していると、柵に手をついてぼんやりと眼下の街を見下ろす友人を発見した。
ひとつに括った長い髪を揺らしながら、後ろ姿からは・・・いや前から見ても、美少女にしか見えない彼は空を仰いだり街を見下ろしたりと落ち着かない。
立ち止まってしばらくその背中を眺めていると、友人は不意に肩からかけていたバッグをごそごそと漁り、一枚の紙を取り出して、柵に押しつけるようにしながら器用に折り曲げて行く。
一分もしないうちにお得意の紙飛行機ができあがる。
白い手で飛行機を持ち上げ、狙いを定めるように何度か空をつつく真似をした。
ああ、あの手で扇を広げ、長い指をぴんと伸ばして舞っていたのだな、と無意識のうちにミハエルは呼吸をするのを忘れて見入っていた。
さあっ、とひときわ強い風が吹く。
彼は直角に曲げた肘を押しだして、紙飛行機を飛ばした。
真っ白なそれは風に乗り、誇らしげに羽を広げて空を舞う。
綺麗な孤を描くように右へと曲がり、ぐんぐん高度を下げてはまた持ち直し、見えない糸に操られているかのように遠くへと飛んで行った。
じっとそれを見つめたまま彼は動かなかった。
けれどミハエルには、彼がいまどんな顔をしているのか想像がつくのだった。
ミハエルはそうして5分ほど観察した後に、ようやく足を進め、彼の背中を軽く叩いた。
「よ。なーにさぼってんだよお姫さま」
「ミシェル!」
ぎょっとしたように振り返って、一瞬気まずそうな表情を浮かべた。
今日は人と約束があるからと、さっさと帰ってしまったのをどこかで後ろめたく思っていたのだろうか。
きっとそうだ、とミハエルは確信した。うぬぼれてもいいだろうか。
デートがあるから今日は別々に帰ろうと言った時、アルトが不満そうな顔をしたのを覚えている。
「もう用事は済んだのか?」
尋ねると、アルトはむっつりと唇を尖らせ、視線をそらした。
「会えなかった」
「ふうん。会うのをやめた、んじゃなくて?」
「何で知ってるんだ!」
「本当か?」
鎌をかけただけだったのだが図星らしい。
みるみる間にアルトの顔が紅潮していく。
こういう、ガキっぽいところがミハエルはたまらなく好きだった。
取り繕うということを知らない純粋さが、苛立ちを募らせ、愛しさへと変化していく。
「・・・・・・矢三郎兄さんに。親父の容態聞こうと思ったんだけど」
「聞けばいいじゃないか。心配なんだろ?」
「そうだけど。でもやっぱりやめた」
「なんで?」
「おまえは?」
「え?」
ミハエルの質問には答えず、アルトは睨むように目を細めた。
「おまえは何でここにいるんだ?デートは?」
「ドタキャンされた」
肩をすくめて言うと、アルトはぷっと笑った。
「笑いやがったな」
つられて笑みを浮かべながらぶつけるように肩を小突くと、アルトはお返しと言わんばかりに体当たりをして、柵に背中を預けて空を仰いだ。
「雨、降らないな」
「降ってほしいのか?」
「たまには降ってもいい」
なんだか偉そうな発言におかしくなる。
「じゃあ雨が降ったら一緒にてるてる坊主作って吊るそうか」
「どこから?」
「バルキリーのコクピットに」
ミハエルが言って、ふたりは同時にそれを思い浮かべてけらけらと笑った。
そんな愉快なものをぶら下げていては、きっと降るものも降らないだろう。
そうしてふたりが立ち去った後、偽物の夕陽に照らされてオレンジ色に染まったふたつのてるてる坊主が、柵からぶら下げられてゆらゆらと揺れていたのだった。
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