Posted by ぴんもや - 2009.12.09,Wed
『夢見る少女もお買いもの』の続きのようなもの。
えっと、どこまで続くんでしょうか?
えっと、どこまで続くんでしょうか?
それぞれが両手に紙袋を携えて、ようやくファッション街を抜けたのはもうどっぷりと日が暮れた18時半ごろだった。おやつにカフェオレと小さなケーキを食べただけの兵部がお腹すいたを繰り返し葉が苛立ちを強めて舌打ちしかけたとき、ふいに四人の前を横切る知った顔にあ、とそれぞれが声を上げる。
「カガリ!」
「ん?」
名前を呼ばれてぎょっと立ち止まるとカガリは奇妙な組み合わせの四人組を見てぽかんと間の抜けた顔をした。
「・・・なにやってんすか」
「買い物だよ。君は?ひとりなの?」
「え、あ、まあ・・・」
手には青い色の袋を持っている。荷物はそれだけだ。
某有名レンタルショップ店のものだとひとめで分かるそれを見て、葉がにやりと笑う。
「ああ、ここの上の階にビデオ屋があったっけ。はっはーん」
「な、なんだよ。いいじゃん別に」
「いいっていいって」
なにやら目で会話をしながら、葉がカガリの肩に手をまわすとにやにやしながら年下の仲間を小突いた。
「まあなあ、思春期ってそういうもんだよなあ。カウンタはちゃんとおねーちゃんのいるところに行った?ちゃんとパッケージ表にしてこれ貸して下さいって言った?」
「言うか!ていうか何か勘違いしてんじゃねーの!?」
ぎゃあぎゃあと騒ぐふたりを遠巻きにしながら兵部を挟んでパティと黒巻がちらりと視線を交わした。
パティの目が泳いでいる。無表情を繕ってはいるが完全に頬が緩んでいて、兵部の手前必死に冷静さを保とうとしているのがばればれである。
「君たち。そんなところで騒いでるとまわりの迷惑になるじゃないか」
「うわ、あんたが正論吐くとなんか気持ち悪ぃ」
「な・に・か言ったかい?」
大げさにあとずさって暴言を吐いた葉に、にっこりと笑みをはりつかせながら兵部が歩み寄る。
葉はぶんぶん首を横に振りながらカガリを巻き込むようにさらに後退した。
「それよりお腹すいた。カガリも一緒にご飯食べに行こう」
「え、あ、はい」
笑顔で怒るという器用なことをやってのけるボスに冷や汗をかきながら(怒りの矛先は自分ではないので別にいい)カガリはこくこくとうなずく。ちらりと隣りを見れば、こちらの首に腕をまわしたままひきつった笑みを浮かべてへらへらしている葉と目が合った。
「カガリはわざわざビデオ借りるのにここまで来るのかい?」
「いえ、今日はたまたまです。ここの本屋は専門書が豊富だし」
「へえ・・・勉強熱心なんだね」
「いえそういうわけでは」
ぼそぼそと返しながら後についていく。彼の言う専門書はつまり、ゲームの攻略本をさしているのだが、兵部は違うものを想像しているらしい。ここで呆れられるのも恥ずかしいので、カガリは誤解を解かないままでいることにした。すぐ前を歩く葉がちらりと振り返ってはにやついているが、睨むとすぐに視線をそらされる。
一行は最上階のレストラン街へとエレベータであがり、それぞれ何が食べたいかを同時に提案することにした。
「僕は和食がいい。てんぷら定食が食べたいな」
「俺は絶対中華。何が何でも中華」
「私はラーメンが食べたいです」
「じゃあ私はあそこのピザ専門店」
「俺は・・・寿司」
「寿司なら和食だね。あそこの日本料理店に行こうか」
「ちょっと待て」
部下たちの意見をにこにこしながら聞いているふりをして、実は自分の都合のいいものしか聞いていなかった兵部はカガリの腕を掴んでずるずると歩き出した。
慌てて葉がとうせんぼをして腰に両手を当て仁王立ちする。
「なんでそうなるんだよ。ここは多数決だろ」
「だから僕もカガリも和食がいいって言ってるじゃないか」
「俺とパティは中華だぞ!」
「ラーメンって中華料理のカテゴリに入るんだ」
ぼそりと黒巻が呟く。が、そのせりふは完全に無視された。
「じゃんけん!」
「却下。財布係は僕なんだから僕が食べたいものを食べる!」
「横暴だ!」
ESPを使わなければじゃんけんが弱いからだろ、と葉が言い放つと、兵部は思わぬ反撃にぐっと言葉を飲み込んだ。
「そ、そんなことないよ」
「ふーん。じゃあここは公平にみんなでじゃんけんで決めようぜ」
勝った人の食べたい店にする。文句は言わない。
「・・・いいよ」
言っておくけど別にじゃんけん弱くないからね、と。
兵部は唇を尖らせながら、りょうてのひらをにぎにぎした。
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