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Posted by ぴんもや - 2009.12.14,Mon
ひとりパンドラ祭り第2弾。
「×××」は「チョメチョメチョメ」と読みます。あ、どうでもいいか(笑)



『駐日ロビエト大使マスール・オカマノフ氏講演会と親睦会のお知らせ』
 そんなタイトルのついた一枚のFAXを受け取ったのは、山積みになっていた書類整理などの仕事を片付け特務エスパーの出動要請もなく平和な一日を終えようとしていた矢先だった。重々しい表情で桐壺局長が立っており、そばにはいつものように秘書の柏木朧が控えている。
「これは?」
「さっき上から連絡があってな。堂々と監視に行けるチャンスだ。ちょっと行ってきてくれんかね」
「はあ・・・」
 局長の言わんとしていることは分かった。つまり、政府関係者やロビエトとの交流を図っている民間団体へ広く知らせてきたのだから、姿を消して遠くから見張ることなく正面から中の様子を探りに行けるということだ。皆本はその案内を見て、日時を確認すると一気に疲れが重く肩にのしかかってきた。
「今夜じゃないですか。それにすでにもう講演会はじまってますよ」
「ああ、それはかまわん。親睦会とやらに潜入してきてほしい。あ、いや一応申請はしてある」
「はあ」
 す、と柏木が進み出て、持っていたファイルから一枚、書類を取り出して見せた。
「実は、マッスル大鎌・・・じゃなくて、マスール・オカマノフ大使の奥さんが来日しているらしいんです」
「えっ。あいつ・・・本当に妻が?」
「分かりませんが、この写真の女性がそうです」
 カラーで印刷された女性の写真を眺めて、三人は考えこむ。
 正面を見て微笑んでいるのは、美しい銀色の巻き毛を垂らした二十代半ばから後半くらいの女性だった。胸から上のバストショットが一枚、そしてもう一枚は全身が映っている。どうやら空港で出迎えた身内と挨拶を交わしている様子で、隠し撮りにしては奇麗に撮れているのでおそらくどこかの週刊誌の記事用に撮影したものなのだろう。
「名前はエカテリーナ。年齢は公称では28。サルモネラ大統領の元秘書だそうです。現在でも交流があり、よくおふたりでディナーを楽しまれている様子がメディアに取り上げられていて様々な憶測を呼んでいるようです。」
「えーっと、つまりそのー・・・そういう関係ってことですか?」
「あくまでも週刊誌のゴシップでしかありませんが」
 苦笑して、優秀な秘書はきりりと表情を改めた。
「実はこの女性が強力なエスパーであり、なおかつこちらの情報を収集するために来日したスパイではないかと政府関係者の中で懸念する方々がおられるようです。パンドラのメンバーなのか、それとも別の組織の人間なのかは不明ですが、念のために調査をしてほしいとのことです」
「本来なら君たちとは別の調査チームの仕事なのだが、パンドラが絡んでいるとなると君の方が詳しいだろう、ということでな。頼むよ皆本くん」
「はあ、分かりました」
 ぽん、と力強く肩を叩かれて、皆本はうなずいた。
「それにしても・・・あのオカマ、じゃないマッスル大鎌に奥さんねえ・・・」
 ということは普通に女性もいけるのだろうか、と、首を傾げながら写真を見つめた。


 時刻は8時間ほどさかのぼる。
「おかえりなさいませ」
「疲れた」
 きっちりと腰を折って頭を下げた部下に、兵部は大きく息を吐きながら持っていた小さなハンドバッグを預けた。
「わざわざこのような演出をする必要はないのでは?」
「いいじゃん。おもしろいし。ほら、写真とられてるぜ」
「あ」
 ちらりと横目で見ると、ちょうど大きな柱の影でカメラのフラッシュが光る。
「ちゃんと例のお知らせはバベルにも流した?」
「はい。予定通り、少佐の、というよりエカテリーナを怪しんで上がバベルに調査を依頼するようですね」
「ふふふ。皆本くん来るかなあ。来るよな絶対」
 にやりと笑う唇は赤い。
 肩にかかる巻き毛を手で振り払いながら、兵部は真木の腕に手を絡めた。
「ちょっ、少佐!」
「え?何か問題でも?」
「そういう行動を軽々しくするからロビエトでも色々とメディアが騒ぐんですよ!少しは自重なさってください。目立ってしまっては変装の意味がないでしょう」
「なんで?」
 心底不思議そうな顔で兵部は真木を見上げた。ヒールのある靴を履いていてもいつもよりほんの少しだけ、距離が遠い。
「なんでって・・・」
 困ったように眉をひそめて、仕方なく腕をからめたままゆっくり歩く真木に歩調を合わせながら、わざとらしく体をおしつけてみせた。
「堂々といちゃいちゃするためにこんな格好してるんじゃん。ま、ヒュプノだけどね」
 絶対おもしろがってるなこの人。
 確かに学ランの少年と腕を組んで歩くのはどうかと思うが、だからと言ってこれでは別の憶測を呼ぶだけに決まっている。
「駐日ロビエト大使の嫁、秘書と絶賛不倫中!これ、おもしろくね?」
「全然おもしろくありませんよ!」
 思わず声を荒げた真木だったが、彼の意見はきっぱり無視されたのであった。
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